Moonlight Butterfly 兼 僕ミシュラン
ニヤニヤしてても、トクはねぇ!
201706<<12345678910111213141516171819202122232425262728293031>>201708
練習1


「今日、泊まります」

第一声ではなかったのだけれど、僕の部屋で二人してあーだこーだと世間話をしていたのだが急に言い出した。何言ってんだこの人は…と思ったのは、甘いような甘くないような自分で淹れたお世辞にもあんまり美味しいとはいえないコーヒーを噴出したから伝わっているだろう。さすがに顔にかけるようなことはしない。

「泊まる…ってうちに?」
「それ以外にどこがあるの。私としてはありったけの勇気を持ってして言っているんだけれど」
「そらまあ、教会とか」
「……私がどういうゲームが好きか知っているからって、言ってくれてありがとう。でも現実はそんなに甘くないと思うし、聖母とかはいないと思いますよ」
「………」
まあねとだけ言って押し黙り、意味もなくソファから立ち上がってコーヒーを持ってきたお盆に置いてあった台拭きでテーブルを拭く。それを見られているのが分かったので、恥ずかしさを誤魔化しているのがバレたのかもしれない。沈黙は半分の了承の意。泊まるのを了承するのは別に好きだし構わないのだが、意を決したようなその態度は見てて微笑ましいくらいだった。そんな今から戦いに行きますとかの表情は和むったらありゃしない。しかしそんなのは尻目にしておく。何故かというと、僕としては色々考えるべきことがあったりするわけなんだこれが。
歳の差っていうのは犯罪だよと多くの人は言うんだけど、両者が黙ってりゃわかんないものだろう。あとは可能な歳まで待つかだが―――そわそわしているのを見ると無理っぽいんだよね。

「いやはや」
「何か言った?」
「いや別に、いいよと言ったの」
「ほ…んと?」
喜ばれると、嫌と言えなくなるだろうに……分かってるのだろうか、そこら辺。『犯罪者になる』ということを考えると控えておいた方がいい答えだったのだが、言ってしまっては仕方が無い。先ほどまで少し離れて座っていたが、今度はぴたりと真横に座ってみる。するとガチンと石になったかのように固まってしまった。自分で泊まると言っておいてこれなのだから、しょうがない人である。
「そ、早計って奴カナ…?」
「僕もそう思うけど、まあいいんじゃない?嫌なら帰ればいい。送ってはいかないけど」

指を掲げてそれは当然だよ、夜だから危ないんだし。と叱られてしまった。プライドを刺激したつもりだったのだが、そこから会話の糸口を掴んだのかうちは学校に近くて羨ましいとか、学校のことやらを話すことになった。というより泊まるということを誤魔化したいようである。先ほどの僕と真逆の対応だ。きちんと伝えなきゃいけないのかなぁ嬉しかったのに。
背のすごく小さい僕としては身体測定や体力測定のイベントについての話題は避けたかったのだが、逆にそれくらいしか取り柄が無いとばかりに食いつかれる。人は自分に無いものを求めるっていうからしょうがないのかもしれないし分からないでもないんだけど。でも僕はそういった身体的なものが好きなわけじゃあないんだけどな。
「わわ、わた、私は、ち、小さくてもいいよっ」
はっきりと背とかが小さくてもいいのかということを聞いてみたのだが、その返答がこうだ。両想い、かなこれ。地味に嬉しかったので手を触ってみたら、石から鉄になっていた。……その内卒倒しかねない。
「……あのさ…僕も緊張してるんだよね。別にこれから何があってもいいとは思っているけどさ」
とはっきり言ってみる。
と、覚悟を決めたのか、頷くのが目に入ったかと思うと――いきなり目の前が塞がった。

…キスされたらしい。片手で数えれるくらいしかしたことがなかった…しかも僕からしかしたことがなかったのだから、呆気に取られるしかない。……そういえば、勇気を持ってこの場にいるって先ほど気付いたばかりだった。しかし、その先はどうしていいのか分からないようだった。手があっちいったりこっちいったり。ううん、やっぱりしょうがない人だなあ。


僕は、自分の背中に手を回し――ブラを取る。

コメント
コメント
コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する
copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.